ビターな恋
俺は苦笑いを浮かべながら
「で、この荷物達をキッチンに運べばいいの?」
「そうそう。お願いね」
俺は五つあるスーパーの袋を両手を使って一気に持ち上げた。
ズッシリと圧がかかる。
「結構重いな…」
車で買い物に行ったとはいえ、これを手にぶら下げてレジから車へ、車から玄関へと移動できる母さんはすごいと思う。
リビングに入ると、つばさが
「京平さん、私も持つよ?」
と、手を差し出した。
「いや、これ結構重いからいいよ。それにキッチンはすぐそこだしな。」
俺はつばさの申し出を断り、キッチンに荷物達を置いた。
少し手がじんじんする。
「でも、そんなに買ってきたのは私がいるからでしょ?」
「母さんは、つばさがいるから腕をふるいたいんだって。悪いことじゃないから、気にするな」
「…わかった」
その時、丁度母さんが入ってきて
「あ!!つばさちゃん!!今日の夕飯楽しみにしててね!!」
と笑顔を浮かべながらそう言った。
その笑顔を見て、安心したらしく、つばさも笑顔で
「はいっ!!楽しみにしてます!!」
…その笑顔が可愛くて、つい俺はドキッとしてしまった。