ビターな恋
「…寝ちゃってるよ」
私はゆっくり近付いて、ベッドの脇にしゃがみこんだ。
「きょーへーさん。ご飯ですよー」
「……ん…」
色っぽいかすれ声を出して、京平さんは寝返りをうった。
「京平さん?起きてくださーい」
体を揺すってみると、京平さんはゆっくり目を覚ました。
「…あれ……つばさ…?」
「はい。おはようございます。ご飯ですよ?」
「ああ、そっか、悪い…起きる」
京平さんは身体を起こした。
私も立ち上がり部屋を出て行こうとする。
《ちゃんと起きたよね…?》
チラッと後ろを振り返ると、すぐそこに京平さんの体があった。
「つばさ?どうした?お前が行かないと俺も出れないんだけど」
京平さんはフッと短く笑った。
「ご…ごめんなさい!!」
私は慌てて部屋を出て、リビングに向かった。