ビターな恋
…変化
つばさside
翌日、私は玄関が閉まる音で目を覚ました。
布団から起き上がり、窓へと近づく。
道路を見てみると、京平さんがかばんを肩から斜めにかけて、どこかへ向かうのが見えた。
どこかへ出かけるのかな…。
まだ寝ぼけている頭でそう考え、亜梨紗のベッドを見る。
亜梨紗はすでに起きているようで、ベッドの中には誰もいなかった。
着替えを済ませて、階段を下りて行く。
「おはようございます…」
「つばさ、時計」
亜梨紗がその二言だけを投げてきた。
「?」
不思議に思いながら時計を見る。
「……あれっ!?私そんなに寝てた!?」
「そうそう。何度声かけても起きなくて…もうお昼になるよ」
時計は十二時を指そうとしていた。
「うわー‼ごめんなさい‼」
「大丈夫よー、顔でも洗ってきなさい」
亜梨紗のお母さんはにこにこ笑いながらそう言ってくれた。
亜梨紗も苦笑いを浮かべつつ、洗ってきなよ、と言う。
私は急いで顔を洗い、お昼の仕度を手伝った。