その信頼は「死ね!」という下種の言葉から始まった[エッセイ]
 高広氏は、すでに信頼関係があり、自分の言葉を正しい意図で受け止められる者だけに

「いっぺん死んでこい」という言葉を使う、と。

 それは正しいし、嫌がる相手には使わない、という思いやりも持ち合わせている。


 だが、恩師の場合は信頼も何もないところから、いきなり「死ね!」というのだ。
 生徒全員に平等に。


 観月はそれもまた正しいと思う。


「死ね」は誰でも投げかけられれば嫌な言葉だ。

 信頼関係のない状態で言われたら尚更、良い方に受け止めるのは難しいだろう。

 恩師の場合は平等に言わなければ、ただの差別になる。


 しかしよくよく考えれば、学校側の判断もすごい。

 学校側は恩師の教育方針を認めていた。

 認めていたからこそ、中学一年生の国語の授業を担当させていたのだ。

 入学したての生徒を、まず恩師の厳しさでしつけるために。
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