Under Tamiflu 灰色の天使
常人では聞こえない話声や
ドアの向こうが時折スケて見える。

苦しむほど俺はデリケートじゃ
ねえけど・・正直、不快だった。

女の井戸端会議を聞きながら
壁にもたれて病室での情事が
終わるのを待つしかねえのか。

ガラっ・・!

「シー、モドッテクル!」

フン・・出て来やがった。
個室をいい事に何考えてやがる。

顔を見てやろう・・。

ヘエ、意外と若い医者だな。
だからって患者を性の奴隷か?

スマした顔しやがって。

クロブチの眼鏡に冴えない容貌。
医者じゃなけりゃ
アキバのヲタクと変わらねえな。

・・フッ、コイツも俺を素通りだ。
こう云うのに限って長生きする。

エロ医者を睨み見下ろしながら
入れ違う様にドアを潜って行く。

「クセエ! ・・お疲れさん。」

「・・・・誰だっけ?」

入って来て直ぐ窓を開け放った
俺へ、女は天井からゆっくりと
視線を移している。

逆上せた様な恍惚なまんまでな。
< 15 / 95 >

この作品をシェア

pagetop