Under Tamiflu 灰色の天使
救いの嘘
「アハハ・・、ソコだけ丸焼きに?」

「あァ、ゴーカイに
"ファイヤー!"ってカンジ?」

・・・此処は教会。

俺は悪魔でもねえから入るのに
イチイチ悲鳴なんかあげない。

今、礼拝堂から一緒に歩いて
来たお年寄りは此処の神父だ。

昔は横須賀で軍人やってた変り
種で、こっちで云う外人である。

何で俺が見えてるかって云うと
実は心臓をやられてて・・
いつ逝ってもおかしくないから。

俺が見えるのには
こう云うケースもあるって事だ。

下界に降りて間もない頃に偶然
街で声を掛けられた時はさすが
に驚いたけど、今じゃすっかり
飲み友達さ。

飲むって云っても彼に配慮して
お茶なんだけどナ。

「ふふ。 こんな事で笑っては
私は聖職者として失格ですね。」

私室に通されると、いつもの
ソファに腰を降ろしていた。
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