Under Tamiflu 灰色の天使
そしてフーと大きな、
死神らしからぬ溜息を吐く。

「・・ウソをついちまった。」

そんな俺に、
神父までが紅茶を煎れながら
呆れ笑いの溜息を零した。

「それが・・彼女にとって
"救い"になればいいんですが。」

「ああ、全くね・・。」

テーブルのストレートの紅茶と、
窓から入り込む夕日が眩い。

死んでからまた・・こんな風に
こんな時を過ごす事が、
愛おしいと思えるなんてな。

魂が戻されてるお陰なんだろう。


「俺はなんてセンチな死神だ」


紅茶に揺らめいてる自分のシケた
面に、肩が落ちる様な一息を吐く。

己でさえ呆れてズズッとカップ
の中身を啜りながら呟いてた。

ブフッと吹き出した神父は咳払い、
ハンカチで口元を押えて微笑んでる。


「だからあの人も
貴方に惚れたんですよ・・。」


・・・頼むぜ、神父。
また俺をブルーにしないでくれ。
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