Under Tamiflu 灰色の天使
(見舞い客か・・?)

翌日、また病院を訪ねた。

女の病室から
私服の男とすれ違ったのだ。

「・・・?」

部屋にソッと入ると・・
またクサイんだ、コレが。

あの女は丸まったティシュを
足元に散らかし、
水道で嗚咽してやがる。
指で口の中を掻き出しながら。

・・・またか。
どうして・・こんなマネが?
この女にも男にも腹が立つ。

壁をブン殴りたい気分を抑え、
俺は部屋を出てさっきの男を
追って行った。

ソイツがこれから
乗るであろう車を確認して・・
指をヒトツ、パチンと弾いとく。

「地獄を見やがれ・・!」

呪いじみた言葉を吐き捨てて
車が走って行くのを見届けた。

戻って来ると女はベッドで背を
向け・・肩を揺らして泣いていた。

「他に楽しみがねえってのか?」
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