Under Tamiflu 灰色の天使


「橋渡ししたこの大きな穴に
ガラスが入る予定なんだ。
下まで298m・・気にいったか?」

下を見、自然と呑んでしまう
ツバの音が聞こえる。

各フロアから光が差し込んで
さぞキレイに地上が見える筈。


「・・怒ってるの?」

声がさすがに震えてやがる。
"まさか"とキッパリ返す俺。

皮肉を言う余裕もないらしい。
風がふけば一瞬身を竦めさせた。

氷の板はさほど丈夫じゃねえ。
縦にビヨヨンと揺れている。

「ヒト様の事なんぞ、お前にゃ
関係ねえんだろ?なら、聞くな。」

「何で一思いにやらないのよ。」

「俺の最後のナサケさ・・
地獄で酷い目に合いたいか?」

殺してと云ったクセに逆ギレ?
このスリルに不機嫌な声色だ。

四つん這いの状態で顔をあげ
俺を睨みつけやがった。

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