Under Tamiflu 灰色の天使
俺も勿論、目を反らさない。

胸元の煙草を
手探りで探しながら告げた。


「それとも・・元カレと同じ所が
イイって云うならそこから飛べ。」

「・・・・!?」

「二股、三股はザラ、出張だと
云って他の女とヨロシクやってた男?
美化しすぎだっつの・・マッタク・・。」

「それだけで地獄行きなの?」


おっ、喰い付いてきた・・?
しかし・・"それだけ"ってなあ?

フツウ腸が煮えくり返るぜ?

もう此処からコイツの感覚も
オカシクなっちまってるんだ。

"愛は情緒ではなく幻想だ"
・・か。デルフィーヌって人は
なかなかいい事を言った。

俺は煙草に火を着け、外を向く。
いい春の日差しの天を仰いだ。

死んじまった俺に言わせりゃ
勿体無い事この上ない。

今、此処から見えるこの景色も
地球のたった一部でしかないと云うのに。


「・・堕胎はアーメンじゃ立派な
殺人さ。女達に3人も始末させた。」

「!!」


まるきり騙されてたんだか、
騙されたフリをしてたんだか・・
俺の知るトコロじゃねえけど

「本当に愛してたなら・・
どんな手を使ってでもお前を
攫いに来たンじゃねえのか・・?」

女ってヤツは・・そうやって
薄汚い男の嘘から逃げ出すんだ。




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