Under Tamiflu 灰色の天使
「何でも知ってるのね」

「あア、お前の事以外もな」

静かに呟く様な会話、
吹き付ける春風とも思えない
不気味な音も強さも強調される。

キタ・・蹲る様に
とうとう泣き出しやがった。


「自分の為に生きようなんて
思った事あんのか・・?」


女はまだサメザメ泣き続けてた。

現実を突き着けてくれる親や
友達を遠ざけてまで現実逃避、

この女の中じゃ思い出とか、
そのロクデナシ男そのものが

残った蛻の殻みたいな体を
動かす原動力だったんだろう。

毎日、誰かに聞いて欲しい様な
日記を書き綴り、

時には人知れず、元カレの
墓場の方角に手を合わせたり、

少ない女友達の見舞い客に
明るく振舞ったり、

フラリと病院を抜け出したり
自傷行為を繰り返したり
どうでもいいエッチさせたり


それは・・良くも悪くもさ・・。
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