Under Tamiflu 灰色の天使
そんな彼女の手から缶ビールを
取り上げて首を大袈裟に曲げて笑った。

「それがねぇなら・・
お前の好きな、"愛してる"って
言葉もないって訳だ。」

「そんな事ないよー、それは
ちゃんと犬かってあるわぁー。」

「フフ、ホントかよ。」

そう云って、
奪ったビールを一気に飲み干して
やったらブーブー怒ってたっけな。

大阪人特有のテンションで・・
イタイ所なんて
ちっとも見せやしなかったんだ。

そんな彼女が
なぜ俺のリストに乗ったのか?

実は病気が原因となったのか
"鬱"になっちまってた。

考えこむと無意識に刃物を持ち、
自分の喉や頚動脈を
切り裂こうする事が多々あった。

ウツだったとは云え、
やり方もゴーカイでさ・・。

思えば奈津子も・・
当時の俺にとっては
サジを投げたい位の女だったな。

「・・・!」

思い出にふける中、
後から近づく足音に振り向くと・・

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