Under Tamiflu 灰色の天使
「HIV感染・・発症してエイズさ。」

奈津子は大阪から出てきて
悪い男に騙されて・・
多額の借金を背負わされてた。

風俗は風俗でも・・借金返済の為
過酷な道を選んじまったから。

「落ちるトコまで転がっといて
挙句にアイツは言いやがるんだ。
"人より一足先に逝くだけだ"
・・なんて、強がっちゃってな・・。」

もともと楽天的で明るい女だった。

客以外にも奈津子の笑顔で
癒されてた男も多いはず。

タブン、俺もその1人だったろう。

「んっ、なんだい・・。」

煙草を落としそうになって
隣の彼女を見下ろした。

突然、俺の柵に置いてた腕に
がっちりしがみ付いて来たんだ。

「そんな顔もうしないで・・私も
残った日を一生懸命生きてみる・・
だからお願い・・、
ちゃんとやってみるから・・!」

「・・・・。」

俺の方が驚いて言葉を失う。

なンだよ・・・、
可愛い事言ってくれるじゃないか。
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