Under Tamiflu 灰色の天使
私達は暫く星を眺めてから
中へと戻って行った。

「ったく・・
女ってのはカンが働くよなァ・・。」


彼はそうボヤきながら階段を降り、
私を病室まで送ってくれていた。

だって、あの時のUTはまるで気配を
察知する猟犬みたいで・・

何かある・・? ピンと来て、
ついコッソリ後を着けたのだが。

まさか・・

あんな場面を見てしまうなんて。
忘れるなら__全て消してくれなんて。

キスを交わした後の彼女の言葉が・・
私の胸をツンざいた。

私にはまだ、ドナーと云う
一筋の光があった。だが、

エイズを発症してからの治療は
まだないのだ・・。

私は_____ 何様だったのだろう。

彼女はそれでも
必死に生きてたと云うのに。

ああ、本当に遅すぎた。

私はどれだけ今までを我侭に、
投遣りに生きて来たのか。
< 57 / 95 >

この作品をシェア

pagetop