Under Tamiflu 灰色の天使
「・・ばーか、酷ェ顔して
泣くな・・ほら、顔上げてみな?」

彼は何処からともなく
ポケット・テッシュを取り出し、
アゴを取る。

確かにヒデエ泣きっぷり・・
鼻水タレてるのも
彼は困った顔で拭いてた。

そんな事、
されたのは勿論初めてだけど・・
全然イヤに思わない。

むしろ、
嬉しくてまた泣いてる始末。


「辛い事はさ? 寝て、朝ちゃんと
喰って、キレイさっぱり
忘れりゃいいんだよ・・。」


ほれっ、とテッシュペーパーを
握らされて背中を叩いてる。

私は今だけでも、
幸せ・・彼女もそうだったのだ。

彼と云う、
もっとも死神らしくない死神が
今、こうして
着いていてくれているのだから・・。

私の、最後の・・ラッキーである。
< 59 / 95 >

この作品をシェア

pagetop