Under Tamiflu 灰色の天使
本物は消えやしない
ドナーの登録者が30万人を突破

白血病などで骨髄移植が
必要な患者は年間約1500人・・

翌朝、そんな考え事をしながら
教会に向かって歩いてたんだ。

俺は例え人混みでも誰かと
ぶつかる心配はねえから周りは
あまり気にしない。

鉛色の空を見上げて内ポケから
煙草を取り出そうとした、
丁度その時だ。


「お早うございます、
プ○ミスでーす、どうぞー。」

「・・・・。」

またコイツかっ・・。

死相も出てない、毎度おなじみ
テッシュ配りのオネエちゃん。

よほど霊感が強いらしいぜ?

意識して、滅多に通らない様に
してるこの通りをタマに通れば

いつも
山盛りのポケット・テッシュを
入れた籠を持って立ってんだ。

オフィス街近く、出勤途中の
リーマン達に紛れて
歩いてるってのに・・。

まア、サッと差し出されてツイ
受け取っちまう俺も俺なんだケド。


「・・・・・帰って来てるのか。」

辿り着いた
暫く歩いた所の、道の隅っこ。

消防用の赤いBOXと植木の隙間
の前に立ち止まり、呟いてた。

そこに・・
何を期待してるでもねえんだが

足元に、白く小さなユリの花束が
立て掛けてあったのを見て
俺は呼吸を詰らせてしまうのだ。
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