Under Tamiflu 灰色の天使
本当なら4日後には
地固めコースに入る予定だった。

少しでも女らしい姿のままで
いたかったけど・・、

後三日でこの髪もどこまで
抜け切るのか解らないし、
ザンバラよりイイと思ったから。

公言するのにはまだぼんやりと
し過ぎて云えないけど
残った日を出来るだけ
前向きに過ごせたら・・、

そんな気持の
芽生えだったのかもしれない。

"お前は
お前の呼吸をすればいいだけ"

そうだ、私は私なりに。

「さっきの歌、素敵だったわ・・
あ、そうだ。昨日、そこで歌ってた
あの曲は何て曲だったの・・? 」

「え?・・・ああ、聞いてたのか。
ありゃ・・なんせ、人の曲さ。」

結局、彼も解らないらしい。
耳に残ったメロディを
口ずさむなんて、
ひょっとしてCMソングだったかな?

♪~♪~♪~・・


その時、
いつものお知らせの音楽と
館内放送が聞こえた。

"これより、
午後の回診が始まります・・・"

< 73 / 95 >

この作品をシェア

pagetop