Under Tamiflu 灰色の天使
「いろいろ
トラブル(←ヒトツは俺のせい)も
あったけど最後はやっぱ、"愛"と、
本人の"生きたい"って気持ちさ。」

「じゃあ・・
その人は生きてるのね、今も。」

「ああ、ピンピンしてら・・。
お、そろそろ時間だな。」


ガラガラと何処からともない滑車の音と
コンソメの匂いが漂ってきた。

そして待合にも蛍光灯が着き、
外来患者の足音が近づいてる。


「戻ろっか。」

「あァ。」


麻美と云う女は意外と単純で扱い易い。

その話を聞いて安堵したのか
階段を上がる俺と目が合うと
ハズカシそうにもう笑ってるんだ。



「"元・不良な聖人"にも
お前の事、頼んどいてやるさ。」

「なにそれ? 」

「フフ、知らねえの・・?」


若い頃は街の不良グループの
リーダーで、説教にきた司祭を
ボコッたりしていた男さ。

やがて反省し修道院に入り
司祭となって故郷に戻るが
街の人々はまだ半信半疑。

男は60歳になって左足にガンを
患い、熱心な祈りによりそのガン
から奇跡的に治癒したと云う。


「それが、St,ペレグリン・・
人々が"ガンの聖人"と
呼ぶようになった男だよ・・。」




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