Under Tamiflu 灰色の天使
(ん・・・?)

窓の外、やっと綺麗に星が
見えてきたと思ったその時。

粉雪に見紛う
金色のキラキラしたものが
舞い落ちてきた。


珍しいじゃないか・・
伝言なら
天使に任せればいいものを。


俺は煙草の入ったポケットを
確かめ麻美の寝息を聞きながら
ドアを静かに閉めた。


屋上に上がって来ると
現実味のない後ろ姿を見つける。

ブロンドの巻き毛に
ビラビラのあの服。

どうせ姿は誰にも見えないから
良いものの、
ギリシャ神話の神でさえ
もっと質素だぜ。

ヤツはフェンスに腰を降ろしたまま
此方に振り返った。


「やぁ、UT。順調みたいだね。」

「あァ、まあね。
それより何しにお越しで?」

「褒めに来たんだ、
君にはこのお役目が天職だってね?」

「冗談・・!」


一対一だと、ヤツの口調は
いつもより穏やかなものになる。

紐で編んだ様な履物から見える
素足をチラつかせ、向き直った。

煙草に火を着けた俺を鼻で笑ってる。


「聞いていたんじゃなかった?
それでもまだ喫煙してるなんて。」

「ないと、落ちつかなくてね・・。」

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