Under Tamiflu 灰色の天使
「あの、クサレ・ドSがっ・・!」
俺は人っ気のない
中庭のベンチで両手で頭を抱え、
ついでに髪を掻き毟ってる。
"神"の仕業とは云え
救い様のない死神に苛立ってた。
イロを着けた所じゃない
ヤツは浄化途中の魂を
俺に返しやがったに違いない。
おセンチで慈悲深いと思えば
煩悩はまだべっとりシミ着いてる。
そうなんだ。
前から変だと思ってたが
俺のリスト、追加される名前も
女の名前しか載って来ねえし。
女を苦しめて死んだヤツは
死後、女によって苦しむがいい
って、・・そう云う事か?
だが麻美に特別な感情はねえ。
( どこかしら・・
アイツに似てるだけさ・・。)
フン・・と不貞腐れた溜息。
上体を起こし、
額から髪を掻き揚げて空を観る。
なに・・たいした事でもない、
半端な精神作用に惑わされるな。
「あの・・隣、よろしいですか?」
「アー、いいよ? あァ!?」
「じゃ・・失礼。」
焦りもする・・。
そう声を掛けて隣に座ったのは
死に掛けた年寄りなんかじゃねえ・・。
あの、後任の女医だったのだから。
「・・お前・・・? 最初から?」
「ええ、時々見えてはいけない
ものが見えたりするんですの。
ヘタに云うと変人扱いでしょ?」
それで医者になるとはこの女、
白衣からチラつく
その脚のムダ毛以上に、
毛深い心臓の持ち主なのだろう。
病院をうろつけば
俺なんか毎日、同業者に会うぜ?
成仏できずウロついてる霊もいる。
「・・アンタの妹、
消費者金融に勤めてたりしねぇ?」
「残念。一人っ子ですが。ナニカ?」
「いや・・何でもねえよ。」
女医はツンと眼鏡をあげ
真面目顔にレンズを光らせた。
例の場所でポケット・ティシュを
配ってるあのおネエちゃんとは
何の関係もないらしい。
死期が近づいてもいない
部外者(死神のリスト外)で
俺達が見える者はそういない筈なんだが。
俺みたいな、"神"本人から
力を与えられてる者は特に。
どれほど修行を積んだ僧でも
悪魔祓い出来るほどの神父でもだ。
俺は人っ気のない
中庭のベンチで両手で頭を抱え、
ついでに髪を掻き毟ってる。
"神"の仕業とは云え
救い様のない死神に苛立ってた。
イロを着けた所じゃない
ヤツは浄化途中の魂を
俺に返しやがったに違いない。
おセンチで慈悲深いと思えば
煩悩はまだべっとりシミ着いてる。
そうなんだ。
前から変だと思ってたが
俺のリスト、追加される名前も
女の名前しか載って来ねえし。
女を苦しめて死んだヤツは
死後、女によって苦しむがいい
って、・・そう云う事か?
だが麻美に特別な感情はねえ。
( どこかしら・・
アイツに似てるだけさ・・。)
フン・・と不貞腐れた溜息。
上体を起こし、
額から髪を掻き揚げて空を観る。
なに・・たいした事でもない、
半端な精神作用に惑わされるな。
「あの・・隣、よろしいですか?」
「アー、いいよ? あァ!?」
「じゃ・・失礼。」
焦りもする・・。
そう声を掛けて隣に座ったのは
死に掛けた年寄りなんかじゃねえ・・。
あの、後任の女医だったのだから。
「・・お前・・・? 最初から?」
「ええ、時々見えてはいけない
ものが見えたりするんですの。
ヘタに云うと変人扱いでしょ?」
それで医者になるとはこの女、
白衣からチラつく
その脚のムダ毛以上に、
毛深い心臓の持ち主なのだろう。
病院をうろつけば
俺なんか毎日、同業者に会うぜ?
成仏できずウロついてる霊もいる。
「・・アンタの妹、
消費者金融に勤めてたりしねぇ?」
「残念。一人っ子ですが。ナニカ?」
「いや・・何でもねえよ。」
女医はツンと眼鏡をあげ
真面目顔にレンズを光らせた。
例の場所でポケット・ティシュを
配ってるあのおネエちゃんとは
何の関係もないらしい。
死期が近づいてもいない
部外者(死神のリスト外)で
俺達が見える者はそういない筈なんだが。
俺みたいな、"神"本人から
力を与えられてる者は特に。
どれほど修行を積んだ僧でも
悪魔祓い出来るほどの神父でもだ。