Under Tamiflu 灰色の天使

「貴方にお聞きしたい事が･･!」


女が眼鏡を外して
詰め寄った瞬間、
俺はその勢いに横へ後退ってる。


「貴方は・・彼女の何ですか?
随分と仲がよろしい様ですが・・。」


流石に
霊との区別は着いているらしい。
しかし
部外者に正体を明かすのは危険だ。

まして彼女は医者、
自分の担当してる患者が
死神もどきに取り憑かれてると
知ったらパニクって騒ぎ出す恐れもある。

今、プシコ(精神科)行きに
なって貰っては困るのだ。


「話せば長いが、
"神"のビミョーな使いさ。」


と、咄嗟に
適当な事しか云えず俺は苦笑した。


「ああ・・、貴方は
天に召されても神なのですね?」

「・・・え?」


両手を合わせて組んでるって事は
さてはこの女医もクリスチャンなのか。

しかし何の話だ・・
何だ、その羨望の眼差しは。
何故、顔を赤らめて・・る・・?


「でも・・! まさか、
こんなカタチで
お会いするなんてっ・・!」

「うっ?」


まるで別キャラに
変化した女医に抱きつかれて硬直。

勘弁してくれ、何でアンタに・・

霊感が強いからって
触れられるのはいいが
結構な・・バカヂカラだ・・っ。




「私、こう見えて高校の時、
軽音楽部だったんです!!」

「・・・!」

「一番の憧れが、もがっ・・」



＿＿＿＿＿　そう云う事か。


察した俺は咄嗟に
女の口を手で塞いでいた。