Under Tamiflu 灰色の天使
それは"死神の呪い"などと
呼ばれているが実際は違う。

俺に言わせれば
あんなもの"神の勝手"だ。

知られてマズイなら
俺にも死神装束を支給しろ。

何かに付けて罰だ罰だと
ぬかしやがって・・。

女医の記憶は後で消せるが
リスト上に載る者は目の前で
ソレを口に出した途端、

俺の意思とは関係なく
天はもっとも
"自然な死"を与えようとする。

天使は意外と残酷だ。

俺を苦しめる為なら
人の命なんてどうでもいい‥

天使たちの嫉妬は知っていた。
これもワンマンな神が悪い。

味方はいないと考えて正解だ。
片目を瞑ったヤツ以外は。


「呼吸困難に陥って…!」

「血液のデータは?」

「上がってきたんですが、
CRPが8あります。
気管内挿管は終りました。」


院長のお出ましだ、ナースから
状況を聞きながら俺の前を通っていく。

呼吸が微弱にあの高熱・・
急性肺炎を起こしたか・・。

だが、殺させやしない。
そんなクダラナサ過ぎる理由で。

こんな状況で
夜など待てるものか。

俺は屋上に出ようと
意識を集中させたその時だ。


♪~♪~♪~


なんだ、あのアコーディオン?

海外のカーニバルを思わせる様な
クラシカルな音色が廊下に響く。

どぎつい化粧の道化師が
小さな子供たちに
キャンディを配ってやってきた。

あり得ないだろ、無菌室付近だぞ?
ホスピタル・クラウンだって?

しかも妙な事に、大人は誰も
見向きもしていないんだ。

白い手袋をパーにして俺に向けると
緑頭のソイツはニヤッと笑うのだ。





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