教えて!恋愛の女神様
「うん、すごくいい!」
「それで、あちこち見学して、午後二時スタートのライブを見る」
「おお、完璧なプランだね!」
「遊びのプランを立てるの大好きだから、得意なんだ」
『オォーッ、ホッ、ホッ!』と灯はマダムのように笑った。明るい彼女を見ていると、こちらまで楽しい気持ちになった。
「ああ、でも、私でよかったの?いつもユカちゃんや、マアコちゃん、アミちゃん達と一緒にいるでしょ?彼女達を誘った方がいいんじゃない?」
「それが、チケットが二枚しかないでしょ?誰か自腹を切って買わなきゃならないから、申し訳ないかと思って」
「なるほどね。ライブのチケットって、けっこうするもんね。学生の懐じゃ、厳しいか」
「そう。それにずっと灯ちゃんといっぱいしゃべってみたかったんだ。ちょうどいい機会かと思って」
「え、嬉しー!実は私も知佳ちゃんとたくさん話したかったんだ」
「本当?なんか心が通じ合っているみたいじゃない?」
「通じ合っている、通じ合っている!私たちきっと良い友達になれると思うよ」
私達はニヤリと笑い見つめ合うと、アハハ!と笑った。灯とは本当に良い友達になれる気がした。
 バイトが終わると、灯とともにルンルンして事務所へ行った。タイムカードを押すためもあったが、来月のシフト表と給与明細をもらうのが最大の目的だった。
「毎月、この日が来るの楽しみだよねー」
「そうそう。『今月はこれ買いたい』とか『あそこへ行きたい』とか、妄想するのが楽しいんだよね」
「給与明細開けちゃうと、一気に現実に戻っちゃうもんね」
「わかるー!『この額じゃ、あれはあきらめないと』ってね」
「でも今回はC大遊びに行けるから、何か買えなくてもいいかな」
「そう?」
「うん。お金じゃ買えないものを手に入れる事が出来そうな気がするんだ」
「『お金じゃ買えないもの』か。なんか素敵だね」
「でしょ?」
灯はフフフと、とても嬉しそうに笑った。彼女の笑顔を見ていたら私も幸せな気持ちになった。
 ふと、裕矢の顔を思い出した。バイト代が入ったら学食でお昼ご飯をごちそうすると約束していたことも思い出した。






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