教えて!恋愛の女神様
「ぐっ……」
「と言うわけで、バカ信者に『カツ』を入れるためワザワザ出迎えてやった。『おかえり』なんて悠長に出ると思ったら大間違いだぞ!」
(やっぱりバレていた!)
「おお、バレバレだ、アホ信者!」
「心を読まないでくださいって言ってるでしょ!」
「聞こえてくるもんはしょうがないだろ!ヨコシマな考えは特にな。叩きな直さなきゃならんからだろう。あいかわらずダダ漏れだ!」
「ぬぅ……」
「そう言うワケだ。アタイに聞かれてもよさそうなこと考えろ」
「へーい」
私がうなずくやいなや、ロマンスは買い物袋を奪った。中には好物の串団子が入っている袋だ。
「これは遠慮なく受け取っておく」
「えっ?『ご機嫌取ろうなんて考えがセコイ』んじゃないんですか?」
「考えはセコイが、せっかくの好意は受け取らねばいかんと言うものだ」
「いや、いいですよ。団子は私も好きだし。無理してもらってくれなくても、私が食べますから」
「これから食うのか?午後十時を過ぎているというのに。ブタになるぞ」
ドキッ、思わず私は視線をそらした。過去、それで太った事があるからだ。その隙にロマンスはそそくさと家の中へ入って行った。彼女の顔はニヤニヤしていた。私は小さく噴出した。
「食べたいなら、憎まれ口たたいていないで『ありがとう』って言えばいいのに」
一息つくと、家の中へ入ろうとした。すると、携帯電話がメールを受信した。
(誰だろう?)
ジーンズの左ポケットに入れてあった携帯電話を取り出し受信トレイを開くと、澤田裕矢の名前があった。タイトルは『お疲れ様』。
(帰って来るころを見計らって連絡してくるなんて、よっぽどメールしたかったんだろうな)
急いで開いてみれば、バイトを終えた事をねぎらいつつも、今日の日中会った時に話していたシフトについて『どうだった?』と聞いてきた。また『おいしいイタメシ屋を職場の人に教えてもらったよ。ぜひ行こう』と、デートのお誘いも書いてあった。






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