教えて!恋愛の女神様
(裕矢さん、一生懸命だな)
日中の時といい、メールといい、彼は情熱的だ。思い出すと、そばにいないのに愛情が流れ込んでくる気がしてドキドキした。
(こんなにアプローチしてきてくれるんだもの、行ってあげていいよね?付き合わなきゃ、行ってあげてもいいよね?ううん、その前に早くご飯をごちそうしてあげなきゃ)
私は急いでメールを返し、明日の昼、ご馳走する約束をした。そしてそこでイタメシ屋へ行く日を相談する事にした。『今週いっぱい忙しい』とウソを言った事を、心の中であやまりながら。
 裕矢からの返信メールはすぐ来た。
-誘ってくれて、とても嬉しいよ。明日よろしくね!-
 居間で串団子を食べていたロマンスは、ニヤニヤしながら様子を見ていた。その後、特に注意したりしなかった。 
 翌日。朝起きた時から気持ちがソワソワしていた。前の彼氏にフラれて約一週間。毎日、マアコ、アミ、ユカのノロケ話を聞きながら、内心傷つき焦っていた。『私はいつ、次の彼氏ができるのだろう』と。
 ただ、翔太の顔が浮かべばドキッとした。
(そうだ、私が好きなのは翔太君。裕矢さんじゃない。こんなに浮かれていて、いいのかな?)
ソワソワした気分が、急になえた。ご飯はごちそうするけど、イタメシ屋へ行くのは止めようかと思いさえした。今、ロマンスはいないが、いたら『そんなんじゃ、どっちとも付き合えないぞ』と怒られそうだった。
(ああ、ダメだ!こんなんじゃ。朝からテンションが低いままじゃ、モテ子になれない。いいじゃない、男の人とご飯食べれるんだから。それだけ十分よ)
テンションを持ち直すと、はりきって身支度を整え朝食を食べた。いつもより念入りにメイクをし、意気揚々と学校へ向かった。
 学校につくと、中央棟の端にある銀行のATMに行った。今日、裕矢にごちそうするためのお金と生活費を下ろすためだ。
(あんまり高い物を選ばないで欲しいな)
下ろしたお金を財布の中にしまいながら思った。『人にご馳走する人はすごい』とも思った。




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