教えて!恋愛の女神様
 その後、一番大きな教室へ向かった。これからある講義は必修科目なので、必然的に二百人いる一年生全員が講義を受けられる広い教室が選ばれた。教室につくと、マアコ、アミ、ユカ、灯も来ていた。灯は仲良くしている友達と一緒にいて、私と目が合うとニッコリ笑って手を振ってくれた。彼女は階段状になっている机の列の中央、右端に座っていた。
 マアコ、アミ、ユカは、上段の左端に座っていた。私は『おはよう』と挨拶を交わし、一番右端に座っていたユカの隣に腰を下ろした。そして鞄から教科書、ノート、ペンケースを取り出した。
「ねえ、知佳。さっき手振っていた子って知ってんの?」
「うん。同じバイト先だよ」
「ああ、スーパーのね」
「そう。明るくていい子だよ」
「ふぅーん。でも、今までいるの気づかなかった」
「え?」
「確かに。人は良さそうだけど、地味だもんね。男とか寄ってこなさそう」
「そ、そんな事ないと思うよ。たぶん必修科目以外授業違うの取っているから、顔合わせる機会が少なくて覚えられないんだよ。人数も多いしさ」
「ああ、なるほどね」
マアコがうなずきホッとした。灯の悪口を言われ自分まで否定されている気がした。
 私はさらに灯の悪口を言われないよう、違うネタを振る事にした。
「そうだ。今日ね、お昼ご飯一緒に食べれないんだ」
「何かバイトでも入った?」
「ううん、会わなきゃならない人がいるんだ」
「会わなきゃならない人?……もしかして男?」
ふいに、ユカ、アミ、マアコは色めきたった。
「まあ、そんなトコかな」
「えーっ!知佳、やるじゃん。フラれたばっかりなのに、すぐ次できるなんて」
「ま、まぁね」
「で、どんな人なの?」
「もちろん社会人でしょぉー。それもお金持ち!ビンボーな男なんてありえない!」
ユカが自信満々で言った。
「だよねー。それで何歳くらいの人なの?」
アミは目をキラキラさせながら言った。
「二十三歳だよ」
「彼って四年生大卒?」
「うん」
「浪人とか、留年とかしていないよね?」
「そこまで聞いてないなあ」
「何やってんの、しっかりしなさいよ!」
「え?」




< 105 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop