教えて！恋愛の女神様

私は殺されるのではないかと思った。
「条件は二つ」
「は、はいっ！」
「一つ。修行が終わったらまずしてほしい。大勢の人に、神社にお参りに行って願い事か叶ったら、『ありがとうを言いに再び神社へ行きましょう』と言って欲しい。つまり『お礼参りをしましょう』と言う事」
「もう一つは？」
「修行が終わるまでは、何があっても告白禁止。付き合うなど論外だ」
「……それだけ？」
「ああ、それだけだ」
「お金は？授業料はいらないんですか？」
「いらん。どうせ上の世界じゃ使えない」
「上の世界？」
私は小首をかしげた。ヤンキーみたいな恰好をしているからお金をむしり取られるのかと思いきや、たわいのない事ばかり。良い人なのか悪い人なのかわからなくなった。
　すると女は『アッハッハ！』と豪快に笑った。続いて男に殴られた頬に右手で触れた。
「いでっ！」
「ずいぶん思い切り殴られたもんだ。痛かったろう」
「当たり前じゃないですか！幽霊じゃないんですから、痛くて当然でしょう」
「けっこう腫れてきたな」
「えっ？」
私はびっくりしてバッグの中から化粧ポーチを取り出し、そのの中からコンパクトを取り出した。開けば、鏡で自分の顔を映した。
　女の言った通り、殴られた頬は赤紫色になりブックリと腫れていた。まるでお化けのようだ。あまりのひどい様子に失神しそうなほどショックを受けた。
「キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーッ！」
「うわっ、びっくりした！」
「こんなんじゃ、どこにも行けない！」
「よかったじゃねーか。あの男、別れて正解だったな。どの道、ひどい目に遭っていただろう」
「どうしよう……もう元に戻らないかもしれない。もう二度と男が寄ってこないかもしれない…」