教えて!恋愛の女神様
(でも、もうサヨナラだよ。四講目から……お昼の授業から私たちは友達じゃない。ただの同じ学部の学生だよ)
あふれてきた涙がこぼれないようグッとこらえると、裕矢の手を引っ張った。
「知佳ちゃん!」
「行きましょう、裕矢さん」
「でも……」
「さあ、早く!」
その場から逃げるよう、裕矢の手を引っ張ってスタスタと歩き出した。一秒でもこの場にいたくなかった。
「ちょっと、今いなくなったら絶交だからね!」
アミの金切声が追ってきた。彼女の声は切羽詰まっていた。
「そうよ、絶交よ!」
「二度と口、きかないからね!」
ユカとマアコも叫んだ。彼女たちの声は怒りに満ちていた。
 その声を聞いた私は、どんどん血の気が引いた。一瞬戻ろうかと思った。
-一人ぽっちになるのは、イヤだった。-
すると、裕矢が前に出て私の手を引っ張り、歩き出した。まるで、くじけそうになる私の心を奮い立たせるかのように。
-目の前にいるワイシャツを着た背中がとてもたくましく見えた。このまま、ずっと引っ張って欲しいと思った。-
 食堂を出ると、裕矢は右に曲がり中央棟の方へ向かって歩き出した。ひとまずどこか休める場所へ行こうとしているらしい。しかし私の足取りは重い。足にまるで鉛が詰まっているかのようだ。
-アミ達と絶交した事が、かなり効いていた。ひどい事を言われたのに、離れるのが辛かった……-
「大丈夫?」
「え?」
ふいに裕矢は歩みを止め振り返った。彼はとても優しいまなざしで私を見ていた。
「顔色が悪いよ」
「そう、ですか?」
「うん。『絶交だ』って言われて、ショックだったんだろ?」
「それは……」
「ガマンしなくていいよ。辛いなら『辛い』って言って。こうなったのは、俺にも責任があるから」




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