教えて!恋愛の女神様
「そんな、責任だなんて。アミ達の方が……彼女達の方が悪いんです。浪人したり留年した人はダメだとか、図書館司書は三流大出の男しかいないとか。勝手に決めつけてけなして。いっつもあんな感じだったから、かなりウンザリしていたんです。絶交できてよかったんです」
しかし裕矢は悲しい顔のまま戻らない。じっと私を見ていたかと思えば、いきなりギュッと抱きしめた。正門と中央棟を結ぶ道は昼食時間ということもあり多くの人が歩いているのに、ためらう事なく抱きしめた。
「じゃあ何でそんな悲しい顔をしているの?今にも泣きそうな顔をしているの?君を見ていると、俺まで悲しくなる」
ワイシャツを通して彼の優しい体温が伝わってきた。前の彼にフラれて以来、抱きしめられた事は一度もない。だからだろう、守られている気がして嬉しかった。心の底からホッとした。
 すると緊張がほどけ、ガマンしていた涙があふれてきた。止めようとしても止められない。どんどんどんどんあふれた。私はたまらず裕矢のワイシャツの胸元を両手でつかみ、顔をうずめた。思いっきり泣きたかった。裕矢はそんな私の思いにこたえるよう、さらに強く抱きしめてくれた。
「うっ、うわーん!」
涙はどんどんあふれた。どんどんどんどんあふれた。『こんなに涙って出る物なの?』と思うほどあふれた。
 結局、どこにも行かず、彼の胸で泣き続けた。
 泣き止んで時計を見れば、十二時五十分だった。
「ごめんなさい。みんなに見られて恥ずかしいですよね」
「そんな事ない、かえって光栄だよ。好きな女の子に胸を貸せるなんて」
「すいません、色々迷惑かけて」
「本当、気にしないで」
「でも……」
「そんなに気になる?」
「はい」
私はうつむいた。アミに大勢の前で『そんなんだから、やり逃げされるのよ!』と爆弾発言されたのに、一緒に食堂から出てくれた。『やり逃げされた女と付き合う男』とレッテルを張られ、さぞや恥ずかしいだろうに。申し訳なくて、顔を見ることができなかった。
「じゃあさ、近いうちに俺とデートしてくれる?」






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