教えて！恋愛の女神様

「知佳が仲良く話しているこの翔太は、俺の高校時代の友達なんだ」
「友達！ウソ……」
「本当さぁ。な、翔太」
「ああ、うん……」
「なんか俺の知らないうちに、翔太と仲良くなったみたいだな」
「そんなの私の勝手でしょ！鉄平には関係ない！」
私は吐き捨てるように言った。しかし鉄平はフラフラと近寄ってきてジロジロと見た。アイドル並みに整った顔と、モデルのような高い背、すきのないファッションで身を固めた彼は、今日もとても素敵だった。カフェにいる多くの女性は、うっとりと見ていた。
　しかし、私は大嫌いだった。
（女を食い物にして、マジ最低！）
「顔、きれいに治ったじゃん。整形でもした？」
「だったらどうだって言うの？ブスに興味はないでしょ。いちいち詮索しないで」
「おお怖い！俺達あんなに仲が良かったじゃないか。ここで会ったのも何かの縁。メル友からやり直そうぜ」
とたん、私の理性がブチッと切れた。右手に持っていたバッグで鉄平の顔をおもいっきりブン殴った。フラれた時の怒りをぶつけるかのような勢いで。
「イデッ！」
「二度と私の目の前に現れないで！」
捨て台詞を吐けば、なりふり構わずカフェを飛び出した。
「知佳ちゃん、待って！」
灯の声が追ってきたが止まらない。止まれない。一刻も早く校舎を出たかった。いや、Ｃ大を出たかった。
　もう一生、鉄平とかかわりたくなかった。あんなひどい男は大嫌いだし、そんな人間だと見抜けなかった自分を再び認めたくなかった。そして何より、大好きな翔太にやり逃げされた恋愛偏差値の低い女だと思われたくなかった。
「待って！」
校舎を出たところで、誰かに左手首をつかまれた。振り返ると、翔太がいた。彼が私を捕まえたのだ。見れば、遅れて灯もやってきた。
「翔太君！」
「あの……鉄平に何かされた？」
「そ、それは……」