教えて!恋愛の女神様
私はそれ以上何も言わなかった。『かまわない』と言ったロマンスの言葉を信じる事にした。
 ところが鍵を開けドアを開けたとたん、ロマンスは眉間にシワを寄せ、鼻をつまみ叫んだ。
「くっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
午後十時半を回ろうと言うのに、両隣三軒まで響く大声だ。さしもの私も驚き、ロマンスの口を押えた。
「何時だと思っているんですか?近所迷惑ですよ!」
「ウルセェッ!これが女の部屋からする匂いか?まるでゴミ箱の匂いじゃねぇか!それも生ごみだ。ここは残飯処理機の中か?」
「シーッ、シーッ!」
「何かシーッだ!滝に打たれて来い!根性入れなおせ!一回死んで頭取り替えてきやがれ!これがモテ子を目指す女の部屋か!」
「そ、そこまで言う事ないじゃないですか!」
「片付いていないにもほどがある。鼻が直角に曲がっちまうわ!」
「だから言ったじゃないですか!忙しくて掃除ができなかったって」
「ゴミ投げて掃除機かける時間くらいあるだろ!毎日分けてやれば絶対できる」
「できません!本当にできません!」
「どうせあのクソタレ男とメール交換に時間費やしていたんだろ?」
「うっ……」
「そんでもって、OL系恋愛もののドラマ見て、『ウルウル、あたしもあんな素敵な恋したい!』って午前様になって朝寝坊だろ」
「ううっ……」
「そんでもあって朝飯もロクに食わず、かろうじて洗濯した服着て講義に滑り込む。ちょー時間の無駄遣いじゃねぇか」
「で、でも……本当に、あの……その……」
「汚い部屋には貧乏神みたいな悪い奴しか住まん。モテ子になりたかったら部屋をきれいにして、アタイのような縁起の良い神様を出迎えろ」
さすがに私は反撃できずだまりこんだ。
(神様だけあって、全部お見通しってわけね)
ロマンスの目を直視する勇気も無く、足下を見た。








< 14 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop