教えて!恋愛の女神様
逃げるよう携帯電話から目をそらした。もう二度と鉄平とはかかわりたくなかった。
 頭の中には、今日C大を訪れた時に翔太が教えてくれた事が鮮明によみがえった。
『鉄平は振った後、何週間か後に復縁をせまってくる。でもまたある程度付き合ったら振る。ゴミみたいにね。だから、モーションをかけてきたら気を付けて。絶対、相手をしちゃダメだ』
(そうだ、メールの内容は見ていないけど、きっと復縁をせまってきたんだ。相手をしちゃいけない。無視しよう)
私は震える手で鉄平から来たメールを削除した。そして床に携帯電話を放り投げた。手に持っているのもイヤだった。
 急に涙があふれてきた。なんだかひどく悲しかった。いや、理由は分かっている。自分を都合の良い女として見られているのが悔しくてしょうがないのだ。
-宝物のように大事にしてほしいのに-
するとまた、メールが来た。なんとなく鉄平からだとわかった。一度迷ったが意を決し携帯電話を拾うと、受信トレイを開いて確認した。
「やっぱり……」
メールは鉄平からだった。タイトルは『会いたい』。
(開かなくても内容はわかる。鉄平はどうにかして復縁しようとしている。その手に乗るもんか!よーし、メールアドレスを変えてやる!)
私は鉄平からのメールを削除すると、急いでアドレスを変えた。そして、仲の良い友達に、新しいメールアドレスを一斉送信で知らせた。
(よし、これでもう鉄平からのメールは来ないぞ!)
ホッとしてため息をついた。するとロマンスと目が合った。
「大丈夫か?」
「は、はい」
「顔色が悪いぞ」
「ちょっと疲れただけです。心配しないで下さい」
とたん、玄関のチャイムが鳴った。何度も何度も鳴った。
 私はチャイムを押しているのが誰だかすぐわかった。ドアスコープから外をのぞかなくてもすぐわかった。第六感が言っていた。
-チャイムを押しているのは、鉄平だ。-
「ひっ……」









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