教えて！恋愛の女神様

「そんな事言わないで。一回だけ」
「ダメです。さあ、帰って。二度とこんなことしないように」
「元カノに会いに来たんだよ。助けてくれよ！」
「君のように、相手の事も考えず押しかけて来る人の事をストーカーと言うんです。このままじゃ訴えられますよ。いやなら、さっさと帰りなさい」
「少しくらいなら大丈夫。俺の親父力があるから、モメ事はもみ消してくれるんだ。これまでだって、女関係でモメたら必ず助けてくれたし」
（何だって！）
私はムカッとした。彼の話から推測すると、これまで体の関係を持って女とモメるたび、自分で解決できないから、父親が権力を使って強引にもみ消したのだ。
（息子も息子なら、親も親ね。さんざん女を泣かしただろうに、息子の悪行を助けるなんて。芯からクサッているわ！）
あまりの怒りっぷりに、飛び出して一発ブン殴ってやろうかと思った。
「落ち着け知佳。相手をコテンパンにやっつけるためには、ある程度ネタの仕込が必要だ。今はグッとこらえて見おくれ」
「私、そんなに大人じゃありません！今井さんに押さえつけてもらって、一発ブン殴ってきます！」
小声ながらも怒りのこもった声で言い、勢いよく立ち上がろとした。
「待て待て！」
「放してください！」
「放せるか、バカ者！」
「このままじゃ女がすたります！」
「すたるもんか！真に賢い女は、気が熟さなければ事がうまくいかない事を知っている。焦るな」
「え？」
「農作物を見て見ろ。目が出て終わりではないだろう。そこから相応の日数を経て成長し、実をつけ、収穫する。相応の日数が必要なんじゃ。なのにお主は目が出たところで刈り取ろうとしている。うまくいくわけなかろう」
「でもこのままじゃ、ムカついてしょうがありません。悔しくて眠れません！」
「その怒りをバネにして、よりモテ子になれるよう磨きをかけろ。男ってのは、ハンターだ。少しでもレベルの高い獲物を手に入れたいと遺伝子で考えている。脳みそじゃない。なのに、レベルの高い獲物に逃げられたらどうだ？悔しくてしかたないだろ？」