教えて!恋愛の女神様
「何の用すか?」
「すぐ終わるんで、カンベンしてください」
「マジですぐに終わらせてくださいよ」
ひどく不機嫌な様子で男は言った。今井は鉄平のすぐ後ろに立ち聞いていた。
「あの、チャイムを鳴らす音とかドアをたたく音がうるさいって、警察に電話しました?」
「ああ、したよ。人が楽しみにしていたテレビ見ていたのに、ドンドンうるさくてちっとも聞こえない。マジ、ムカついたんだ」
「そうですか、ありがとうございました。それが聞きたかったんです」
「……もしかしてアンタ、チャイム鳴らしたり、ドアをぶっ叩いていた張本人?」
「いえ、違います。迷惑をこうむっている女の彼氏です」
「ああ、そう。彼女のためにひと肌脱ぎに来たってワケね」
「はい、そうです」
(この男、嘘つくのうまいなぁ。これじゃ、恋愛初心者の女の子なんかコロッとだまされちゃうな)
今井はウーンと小さくうなった。
「じゃあ、ありがとうございました」
「はい」
ドアがしまると、鉄平はニコニコしていたのに急に不機嫌になった。『チッ』と悔しそうに舌打ちすれば、しかたなく階段へ行き下へ降りて行った。知佳とよりを戻し、うまくいけばエッチな事をしようと思っていたのに当てが外れ悔しそうだ。
(大いに悔しがったらいい。今まで君が振ってきた女の子達は少なからず悔しい思いをしてきたんだから)
今井は鉄平がいなくなった階段を見つつ思った。
 一方、チャイムを鳴らす音やドアを叩く音がうるさいと通報した男は、玄関のところで首をかしげていた。
「俺、ここで何をしているんだ?ゲームしていたはずなのに……」







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