教えて!恋愛の女神様
 とたん、ロマンスは手をポンと打ち鳴らした。
「よし、第一の修行は変更だ」
「へっ?」
見ればロマンスはニヤリと不敵に笑っていた。フッフッフッと言えば、私をビシッと指さした。
「部屋を掃除しろ。ピッカピカにな」
「ほー『服は』マシなのがそろってんだな」
「あたりまえじゃないですか。顔がイマイチなんだから、服くらいオシャレな物を着なきゃ。しょうもない男さえ寄ってきませんよ」
すると再びロマンスは大きなため息をついた。
「何でため息をつくんですか?」
「しょうがないと思いつつも、先が思いやられる現実をなかなか受け入れられなくてな」
「えっ?な、何て事を言うんです師匠!」
私は散らかっていた雑誌を片付けるのをやめ、ロマンスの足にしがみついた。
「師匠が私を力強く指導してくれなきゃ困ります。師匠がそんな弱気でいたら、私は誰にすがればいいんですか?」
「アタイがいつから知佳の師匠になったって?」
「そんな事言わないでください!私、本気でモテ子になりたいんです!幸せになりたいんです!どうか助けてください!弟子にしてください!」
「おい、コラ、放せ!ズボンが脱げる!」
「だったら私を『弟子にする』と言ってください!」
「さっきも言ったが、アタイは神様だ。神様は弟子なんか持たねぇ。持つのは信者だ!」
「あ、なるほどね」
私はパッとロマンスのズボンを放した。とたんロマンスは前のめりに倒れ、ドサッと言う音をたてて山積みにしていた雑誌に突っ込んだ。雑誌は雪崩のごとく床に散らばった。
「ごっ、ごめんなさい!」
「気ぃつけろ!死んじまうだろ!」
(……ってか、神様は死なないでしょ)
私はあきれた目で見た。何事、大げさな神様だ。
「知佳、今神様だから死なないとか、くだらない事ブッこいたな」
「えっ?き、聞こえたの?」







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