教えて!恋愛の女神様
『オートロック?』
「ううん。普通のマンション」
『わかった。じゃあ、できるだけ早く行くから待っていて』
「うん、待ってる!」
通話を切ると、キャッ!と小さく叫んで飛び上がった。
(もう少しで翔太君が来る。もう少しで翔太君が来る!すべてがうまくいきそう。いっそ、デートの約束でも取り付けちゃおうかな?)
「それは気が早すぎる」
「え?」
そばで様子を見ていたロマンスが言った。
「気持ちはわからんでもないが、急げば事を仕損ずるぞ。第一、相手は付き合っている女がいる。下手に動けば元も子もなくなるぞ」
「そ、そうかなぁ……」
「付き合っている女がいる男を自分の物にするには、時間、労力、テクニックのすべてが必要だ。なぜなら、いったん別れさせなければならないからな」
「でもこの前、二人でいるところを目撃したけど険悪なムードだったよ。仲が悪ければ、すぐ別れるかもしれないよ」
「その時は仲が悪く見えたかもしれないが、翔太と知佳が楽しそうにしているのを見たら、相手の女は仲直りしようと思うかもしれない。翔太の彼女は強気だが、仲直りするためにプライドをかなぐり捨てて謝るかもしれない。そうしたら二人は、アツアツの恋人に戻るかもしれない。おぬしはあっけなくフラれて終わりだ」
「なんでアタックしてもみないうちから、そんなネガティブな事を言うんですか?ロマンスらしくない」
「今回ばかりは前向きに行けと言えんな。なんせ知佳はフラれぐせがついている。恋愛についてネガティブなマインドが濃く染みついているから、ちょっとした失敗で後ろ向きになるかもしれない。そうすれば、ますますネガティブになって、依存的なダメ男としか付き合えなくなるぞ」
「ぬっ……」
「女の幸せをつかみたいのだろう?悪い事は言わん。今回は様子を見ておけ」



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