教えて!恋愛の女神様
「男なんて、いっぱいいるもの。翔太と別れたって言えば、他の男が寄って来るし。さみしくなんてないわ」
「だろうね。『顔とスタイルだけ』はいいからね」
「サイッテー!頭だけ良いあなたに言われたくないわ」
「ま、せいぜいセックス目当てだけの男に気をつけな」
言うなり、翔太は私の手をつかんだ。
「ごめん、遅くなって。約束通り中央棟まで送っていくよ」
「い、いいの?」
「もちろん。さあ行こう。講義に遅れるよ」
翔太が私の手を引いていこうとしたとたん、反対の手を誰かがつかんだ。振り返って見ると、裕矢だった。
「翔太、おまえには行かせない。知佳ちゃんは俺が送って行く」
「兄さんは無理だよ。仕事を抜けてきたんだろ。サボって女といるのを知られたらクビになるよ」
「ならない。俺は説明するのがうまいからな」
翔太と裕矢はバチバチと音が立ちそうな勢いでニラみあった。
「第一、彼女と別れたばかりで他の女に手を出すなんて、ひどくないか?」
「手を出しているんじゃない。約束を守ろうとしているだけだ」
「約束?何の約束だよ。朝っぱらから『二股かけますが、デートしてくれませんか?』って約束でもしたのか?」
「やめて!裕矢さん。翔太君は悪くないの」
「悪くない?」
「はい。翔太君は……ストーカーから私を守ろうとしてくれているんです」
「ストーカー?誰にストーキングされているんだい?」
「元カレです……」
私は消え入りそうな声で言い、下を向いた。もう昨夜の事は思い出したくなかったのに、思い出さねばならないから。
「そう、大変だったね。……でも、だったら俺を頼ってよ」
「裕矢さん!」
「翔太より俺を頼って。じゃないと、よけいなモメ事まで抱え込む事になるから」
「でも……」
「翔太、これでわかったろ。知佳ちゃんのことは俺に任せろ。お前はちゃんとエリカちゃんと話し合って、今後どうするか考えろ。そして、勉強に集中しろ」








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