教えて！恋愛の女神様

「数か少なかったとしても、知佳ちゃんの心は翔太へ傾いている。一秒でも多く会えば、翔太の物になる確率が高い。エリカちゃんとも微妙な状況だし。俺は今、不利な立場にいるんだ」
「う、うーん……」
「必ず君を幸せにすると約束するから。お願いだ」
真剣な視線がまっすぐ私の瞳の中に飛び込んできた。逃げを許さない迫力に私はうなずいてしまった。
「はい」
「ありがとう！」
裕矢は私の手を包み込むよう両手で握った。彼の手は大きくてしっかりしていて、とても男らしかった。すごくドキドキした。
　　翔太とエリカは私や裕矢と別れた後、正門のすぐそばにあるバス停へ向かった。さっき翔太が降りたバス停だ。今は午前八時二十八分。着いたのが午前七時五十分頃。翔太はわずか四十分しかいなかった事になる。
「なんで来るんだよ。かまってくれる男はいっぱいいるんだろ。そっち行けよ」
「裕矢さんが気を使って話し合いの時間を作ってくれたんだもの。話し合わなきゃ」
「俺はない」
翔太はさらに早いスピードで歩き出した。エリカは必死に追いかけ、腕をつかんだ。
「ねえ、待ってってば！」
翔太は歩みを止めると、氷のように冷たい目で見た。
「もう俺達別れたんだろ？それなのに何を話すって言うんだ？これまであった事を棚卸して、どんだけ相手にひどい事を言ったか確認して、慰謝料でも計算する？」
「違うわ。もっと違う事よ」
「何度も言うけど、俺はない。顔も見たくない。二度と会いたくない」
翔太はバス停へ向かって再び歩き出した。するとエリカは翔太の後を追いかけた。追いつけば、前に回り込んで見つめた。
「ねえ、私達本当に終わりにしていいの？どんなに頼まれても、二度と復縁なんてしないわよ」
「ああ、かまわない」
「後悔しても知らないわよ！」
「俺、後悔しない主義なの知っているだろ。まったく問題ない」