教えて!恋愛の女神様
「昨日も今日も鉄平に激しくアタックされているだろ?そう簡単に帰らないんじゃないかと思って」
「ああ、そうですね」
「実家は遠いんだっけ?」
「はい、北海道の帯広市です」
「それじゃ、実家への一時非難は無理か」
「でも、昨日鉄平は帰りましたよ。今日もそのうちあきらめて帰るんじゃないかな」
「たしかにそうかもしれないけど、それまでさっきみたいな電話攻撃に耐えるの?何時間続くかわからないのに辛くない?」
「そっか、そうですね……」
私は昨日の夜の事を思いだし、改めて考えた。
(裕矢さんの言う通りかも。たった一日しかストーキングされていないけど、鉄平の異常な熱意は伝わってくる。このままでは遅かれ早かれ根負けして復縁してしまう。地獄街道まっしぐらだ!)
意を決すると、とあるところへ電話した。相手は三コール目で出た。
『はい、長内です』
母だった。夜九時三十分を回っていると言うのに、とても元気だった。聞きなれた声にホッとしつつ、言わなければならない事を思うと気が重かった。
「お母さん、私」
『あら、知佳。こんな時間にどうしたの?』
「うん、それがね…」
さすがにストレートに言えず、言葉を濁した。母も父も私が彼氏にもてあそばれ捨てられた事は知らない。ガッカリした上嫌味を言われるのはわかっているので、言えなかった。
『それが、どうしたの?』
「うん、実はね……引っ越したいの」
『引っ越したい?誰かとモメたの?』
「う、うん。隣に住んでいる人が夜中になると大きな音で音楽を聞いていてね。うるさくて眠れないの。不動産屋の人にも言って注意してもらったんだけど、ぜんぜん直らなくて。耐えられないから引っ越したいと思って」
『それはひどいわね。……でも困ったわね。また引っ越したら引っ越し代の他に、敷金とか礼金とかかかるわ』
「そろそろ就職活動も始まるし、できるだけ良い環境にいたいんだ。バイトももっと時給の良いところ探すから、引っ越しさせて」
『それならしょうがないわね。お父さんには私から言っておくから、できるだけ早く家を探して』









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