教えて!恋愛の女神様
一階が見えてくると、ドキドキした。建物から出るためには、エレベーターの前を通らなければならない。後ろから足音は聞こえてこないので鉄平は階段を使わず、エレベーターで追いかけてきていると思われた。突然目の前に現れる可能性が上がると言うわけだ。
(鉄平、追いつかないで。追いつかないで!)
とたん一階に着き、エレベーターの前を通り過ぎた。そのままマンションの横にある駐車場へ走って行けば、裕矢の車の前で止まった。
「知佳!どこにいるんだ?」
裕矢がズボンのポケットから車のキーを取り出すと、今出て来た玄関の方から鉄平の声が聞こえた。私はドキッとしてあたりを探した。しかし、まだ鉄平の姿は見えない。
ガチャッ、と音をたて車の施錠は解かれた。
「さ、乗って!」
私は言われるまま乗った。裕矢も運転席に乗れば、キーを差し込み、エンジンをスタートさせた。ライトをつけると同じタイミングで鉄平が駐車場に姿を現した。
「あっ!」
私の全身が硬直した。息も止まった。このまま逃げ切れるだろうかと思った。
すると裕矢は車を急発進させた。
「知佳、待ってくれ!」
鉄平は私達へ向かって全力で走ってきた。あまりにもすごい勢いなので、ぶつかるのではないかと思った。それを裕矢は絶妙なハンドルさばきでかわし、さっき来た道を戻るよう走った。
「ちかーっ!」
後ろから鉄平の声が追いかけてきた。断末魔のように叫んだ声はひどく切なかったが、今は悪魔の叫びにしか聞こえない。私は両手でギュッと体を抱きしめた。恐怖のあまり全身がぶるぶると震え、止まらなかった。
ふいに、そんな私の手を裕矢がにぎった。見れば右手だけでハンドルを握り、左手で私の手を握っていた。目は前を見ながらも、チラチラと私の様子をうかがっていた。
「大丈夫?」
「はい、何とか」
「無理しないで、甘えていいんだよ」
「もう十分甘えていますよ。美術館でデートしてもらったうえ、ストーカーから助けてもらったんだもの。これ以上甘えたら、神様に怒られちゃう」
(鉄平、追いつかないで。追いつかないで!)
とたん一階に着き、エレベーターの前を通り過ぎた。そのままマンションの横にある駐車場へ走って行けば、裕矢の車の前で止まった。
「知佳!どこにいるんだ?」
裕矢がズボンのポケットから車のキーを取り出すと、今出て来た玄関の方から鉄平の声が聞こえた。私はドキッとしてあたりを探した。しかし、まだ鉄平の姿は見えない。
ガチャッ、と音をたて車の施錠は解かれた。
「さ、乗って!」
私は言われるまま乗った。裕矢も運転席に乗れば、キーを差し込み、エンジンをスタートさせた。ライトをつけると同じタイミングで鉄平が駐車場に姿を現した。
「あっ!」
私の全身が硬直した。息も止まった。このまま逃げ切れるだろうかと思った。
すると裕矢は車を急発進させた。
「知佳、待ってくれ!」
鉄平は私達へ向かって全力で走ってきた。あまりにもすごい勢いなので、ぶつかるのではないかと思った。それを裕矢は絶妙なハンドルさばきでかわし、さっき来た道を戻るよう走った。
「ちかーっ!」
後ろから鉄平の声が追いかけてきた。断末魔のように叫んだ声はひどく切なかったが、今は悪魔の叫びにしか聞こえない。私は両手でギュッと体を抱きしめた。恐怖のあまり全身がぶるぶると震え、止まらなかった。
ふいに、そんな私の手を裕矢がにぎった。見れば右手だけでハンドルを握り、左手で私の手を握っていた。目は前を見ながらも、チラチラと私の様子をうかがっていた。
「大丈夫?」
「はい、何とか」
「無理しないで、甘えていいんだよ」
「もう十分甘えていますよ。美術館でデートしてもらったうえ、ストーカーから助けてもらったんだもの。これ以上甘えたら、神様に怒られちゃう」