教えて!恋愛の女神様
お父さんは微笑んだまま私を見た。どこまでも彼は穏やかだった。私はある程度なら、正直に話してもいいと思った。
話そうと息を吸い込んだとたん、裕矢は言った。
「俺が全部話すよ」
裕矢の顔は男らしく輝いていた。私は裕矢に任せる事にした。
約三十分かけてこれまでの事を話終えると、お父さんは胸の前で腕を組み『うーん』とうなった。時刻はゆうに深夜を回り、家の中も静かで、私たちの小さな息遣いまではっきりと聞こえた。
「父さん、いいだろ?知佳ちゃんが落ち着くまで家に泊めても」
「うーん」
「客間ならたくさんあるだろ?それに母さん、娘が欲しいって言っていたじゃないか。娘ができたと思えばいいんだよ」
「…………」
「あの……」
「何、知佳ちゃん?」
「やっぱりいいです。ご家族の方の了承も得ていませんし。さすがに申し訳ないです」
「大丈夫だって!非常識に遊びに来たわけじゃないんだ。ストーカーに追いかけられて困って逃げてきたんだ。母さんだって事情を聞けば許してくれるよ」
「裕矢の言う通だ」
「父さん!」
「鉄平君を悪い男だと見抜けなかった知佳さんは、もちろん浅はかだった。しかし命を脅かされているのは事実だ。お金を貸して次の家が見つかるまでホテルに住むのも良いだろうが、誰も守ってはくれない。その点、うちならお手伝いさんか妻か必ずいる。みんな鉄平君の顔も知っているから、やってきても追い払ってくれるはずだ」
お父さんは幾度となくうなずいた。
「事態が落ち着くまで家にいるといい。妻の事は私が説得する。翔太の事は、裕矢、お前が説得しなさい」
「いいんですか?」
「困った時はお互い様だ」
「あ、ありがとうございます!」
私は再び頭を下げた。
「さ、夜も更けた。明日も講義があるんだろう?ゆっくり寝て体を休めよう。疲れたままじゃ勉強に身が入らないし、敵も追い払えない」
「はい、そうします」
「じゃ、お休み」
「お休みなさい」
お父さんはキッチンへ自分が使ったグラスを持って行くと、居間を出て行った。私はお父さんの後ろ姿をボーッと見た。
話そうと息を吸い込んだとたん、裕矢は言った。
「俺が全部話すよ」
裕矢の顔は男らしく輝いていた。私は裕矢に任せる事にした。
約三十分かけてこれまでの事を話終えると、お父さんは胸の前で腕を組み『うーん』とうなった。時刻はゆうに深夜を回り、家の中も静かで、私たちの小さな息遣いまではっきりと聞こえた。
「父さん、いいだろ?知佳ちゃんが落ち着くまで家に泊めても」
「うーん」
「客間ならたくさんあるだろ?それに母さん、娘が欲しいって言っていたじゃないか。娘ができたと思えばいいんだよ」
「…………」
「あの……」
「何、知佳ちゃん?」
「やっぱりいいです。ご家族の方の了承も得ていませんし。さすがに申し訳ないです」
「大丈夫だって!非常識に遊びに来たわけじゃないんだ。ストーカーに追いかけられて困って逃げてきたんだ。母さんだって事情を聞けば許してくれるよ」
「裕矢の言う通だ」
「父さん!」
「鉄平君を悪い男だと見抜けなかった知佳さんは、もちろん浅はかだった。しかし命を脅かされているのは事実だ。お金を貸して次の家が見つかるまでホテルに住むのも良いだろうが、誰も守ってはくれない。その点、うちならお手伝いさんか妻か必ずいる。みんな鉄平君の顔も知っているから、やってきても追い払ってくれるはずだ」
お父さんは幾度となくうなずいた。
「事態が落ち着くまで家にいるといい。妻の事は私が説得する。翔太の事は、裕矢、お前が説得しなさい」
「いいんですか?」
「困った時はお互い様だ」
「あ、ありがとうございます!」
私は再び頭を下げた。
「さ、夜も更けた。明日も講義があるんだろう?ゆっくり寝て体を休めよう。疲れたままじゃ勉強に身が入らないし、敵も追い払えない」
「はい、そうします」
「じゃ、お休み」
「お休みなさい」
お父さんはキッチンへ自分が使ったグラスを持って行くと、居間を出て行った。私はお父さんの後ろ姿をボーッと見た。