教えて!恋愛の女神様
 顔を洗い髪を洗うと、タオルで髪をまとめ体を洗う事にした。適温を出し体を温めると、心がホッとした。
(ああ、気持ち良いなあ。こんな思いができるのも、裕矢さんとお父さんのおかげだな。明日またお礼を言おう)
裕矢の顔を思い浮かべていると、車の中でキスをさけた事を思い出し心が痛んだ。
(ずっとあんな事をし続けるわけにいかない。状況が落ち着いたらどうするか、ちゃんと考えなきゃ)
体を洗い終えると、置いてあった化粧品を使い肌を潤して部屋へ戻った。電気をつければ、かけ布団もめくらず、ベッドの上へごろんと横になった。
「良い身分だのう」
ガバッ!私はびっくりしてベッドから起き上がった。ドアの方を見れば、ロマンスがお気に入りの真っ赤な特攻服を着て右手に串団子を持ち、口をモグモグさせながら立っていた。
「なんでいるの!」
「これぞまさに神出鬼没!」
「ギャグ言っている場合じゃないでしょ!マジ、ビックリしているんですから!」
「って言うか、知佳。まだ昨日のお礼の団子をもらっていないぞ。早くよこせ!」
「この状況で無理言わないでください。せめて日中にしてください」
「やだー!今、ほしいーっ!」
「今食べているでしょ!誰からもらったか知りませんが」
「ナイショだもーん!」
「別に知りたくありません!」
「うらやましいだろぉー」
「うらたましいって言って欲しいんですか」
「いや。昨日空の上に帰って考えたんだが、元カレを追い払った報酬に串団子二十本は多いと思ってな。十本に減らしてやると言いに来たんだ」
「そのためにわざわざ来たんですか?」
「そう。アタイは仕事が早いからな。ありがたく思え」
「とにかく。団子の引き渡しは日中です!こんな夜中に、それも人様の家を出たり入ったり、失礼でできません!あと、現れる時は何か予告して下さい。めっちゃ心臓に悪いですから!」
「そんなに大きな声を出すと、それこそびっくりして誰かがやって来るんじゃないのか?」
「…………!」





< 196 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop