教えて!恋愛の女神様
「は、初めまして。長内知佳です。よ、よよよ、よろしくお願いします!」
ペコリと頭を下げた。すると、ウフフフと上品に笑う声が聞こえた。
「素敵なご挨拶ね。なんだか私まで元気になれそうだわ」
おそるおそる顔を上げると、お母さんはニコニコ笑っていた。お父さんもそれを見て笑っていた。
「主人から聞いたけど、色々大変だったようね。うちなら部屋がたくさん空いているから、何泊でもしていったらいいわ」
「はい、ありがとうございます」
「あら、そんなに緊張しないで。私けっこうチャランポランだから、『お母さんの前ではキチンとしなくちゃ』なんて思わなくていいのよ」
「はい、ありがとうございます」
「それと、我が家の家事を取り仕切ってくれている、家政婦の多恵さんを紹介するよ」
お父さんは台所でフライパンを洗っていた女性を呼んだ。女性は四十代後半で、彼女もとても人がよさそうだった。
「あら、そういえば翔太はまだ起きてきていないの?」
「あいかわらず寝坊助だな。おい、裕矢。知佳さんもいるこどだし、今日くらい早く起こしてきてくれ」
「うん、わかった。知佳ちゃんは先に座っていて」
「は、はい」
私は言われるまま、お母さんが座っている席と反対側の末席、つまり三つ目の席に座った。
 座って間もなく、裕矢、そしてパジャマ姿の翔太が入ってきた。翔太は私を見るなり、ビックリして硬直した。
「ち、知佳ちゃん!」
「おはよう、翔太君」
「なんだ、二人は知り合いなのか?」
「実は……ちょっと知っています」
「そうか。だったら早く言ってくれればよかったのに」
「すいません、お気遣いできず」
「いや、知佳ちゃん。怒っていないよ。気にしないで」
「やだ、あなたったら。あんな言い方したら、誰でも怒られた気になっちゃうわよ」
「これは失敬。気をつけます」




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