教えて!恋愛の女神様
「エリカちゃん、大丈夫か!」
呼びかけても、目を開ける気配はない。父はコックをひねり水を止めると、エリカの口元に耳を近づけ呼吸音を聞いた。次に、切っていない方の右手首をつかむと、大きくうなずいた。
「大丈夫だ。息はしているし、脈もある」
「よかった……」
「よし、ひとまず居間へ連れて行こう。翔太は脇の下を持て。俺が足を持つ」
「わかった」
二人は居間のジュウタンの上にエリカを寝かせた。父はすぐさま往診カバンを持ってくると、中から消毒薬と包帯を取り出し、傷口の手当てをしだした。
手当てを終えれば、部屋の中央に置かれた白い楕円形のテーブルへ近寄った。テーブルの上に置いてあった紙袋と、アルミ製のシートを手に持てば、食い入るように見た。十錠入りのシートは全て空なっていた。父の表情はどんどん険しくなった。
すぐさまズボンのポケットから携帯電話を取り出すと、三つの番号を押した。電話はすぐかかった。
『はい、東京消防庁、救急センターです』
「十九歳の女の子が睡眠薬であるハルシオンを大量に飲んで手首を切り、意識がありません。飲酒もしています。出血量も多い。呼吸と脈はありますが、迅速な処置が必要です。大至急救急車をお願いします」
『住所はどちらになりますか?』
「翔太、この部屋の住所を伝えろ」
「う、うん」
翔太は父から携帯電話を受け取ると、エリカの部屋の住所を告げた。彼の声は震えていた。
電話をかけ終えると翔太はエリカの手を握り、祈るよう頭を下げた。まるでこれまで犯した罪を詫びるかのように。父は翔太のそばに座ると、肩をポンポンと叩いた。苦しむ息子の姿を見るのはつらかったが、どうする事もできなかった。ただ励ますしかなかった。
電話をかけ終えて五分後、救急車はやって来た。エリカは担架に乗せられ部屋の外でストレッチャーに乗せかえられた。翔太も父も病院まで付き添う事にした。
呼びかけても、目を開ける気配はない。父はコックをひねり水を止めると、エリカの口元に耳を近づけ呼吸音を聞いた。次に、切っていない方の右手首をつかむと、大きくうなずいた。
「大丈夫だ。息はしているし、脈もある」
「よかった……」
「よし、ひとまず居間へ連れて行こう。翔太は脇の下を持て。俺が足を持つ」
「わかった」
二人は居間のジュウタンの上にエリカを寝かせた。父はすぐさま往診カバンを持ってくると、中から消毒薬と包帯を取り出し、傷口の手当てをしだした。
手当てを終えれば、部屋の中央に置かれた白い楕円形のテーブルへ近寄った。テーブルの上に置いてあった紙袋と、アルミ製のシートを手に持てば、食い入るように見た。十錠入りのシートは全て空なっていた。父の表情はどんどん険しくなった。
すぐさまズボンのポケットから携帯電話を取り出すと、三つの番号を押した。電話はすぐかかった。
『はい、東京消防庁、救急センターです』
「十九歳の女の子が睡眠薬であるハルシオンを大量に飲んで手首を切り、意識がありません。飲酒もしています。出血量も多い。呼吸と脈はありますが、迅速な処置が必要です。大至急救急車をお願いします」
『住所はどちらになりますか?』
「翔太、この部屋の住所を伝えろ」
「う、うん」
翔太は父から携帯電話を受け取ると、エリカの部屋の住所を告げた。彼の声は震えていた。
電話をかけ終えると翔太はエリカの手を握り、祈るよう頭を下げた。まるでこれまで犯した罪を詫びるかのように。父は翔太のそばに座ると、肩をポンポンと叩いた。苦しむ息子の姿を見るのはつらかったが、どうする事もできなかった。ただ励ますしかなかった。
電話をかけ終えて五分後、救急車はやって来た。エリカは担架に乗せられ部屋の外でストレッチャーに乗せかえられた。翔太も父も病院まで付き添う事にした。