教えて!恋愛の女神様
「でも、失敗するってことは、『私、ダメ人間です』って言っているようなものじゃないですか?」
「毎日ののしり合って、心の中で『早く死んでしまえばいいのに』って思ったり、外で愛人作りながらも、世間体を気にして取りあえず結婚生活続けている方がずっとよろしくないわ。自分の幸せしか考えていない。だったら潔く離婚して、その時何が良くなかったか反省し、もっと自分にあった相手を見つけてベリーハッピーになる方が爽やかだね」
「なんかロマンス、冷たい……」
「なんとでも言えばいいさ。しかし真の幸せと言うものは、ジワジワした努力の果てに手にするもんだ。楽々手に入れると、必ずどこかでコケて痛い思いをする。無理なダイエットをして痩せてもリバウンドするのと一緒だ」
「ふぅーん」
「ま、そういう事だから、アタイはここいらで帰るとするよ」
「えっ!行っちゃうの?」
「さっき行くって言っただろ。アタイに二言はない」
私はすっかり悲しくなった。これから本当に一人でやっていけるか心配にもなった。
 すると目の前にピンク色でA五サイズの紙が差し出された。
「なんですか?これ」
「アタイの人間界の家だ。どうしてもさびしくなったら、遊びに来い」
よく見れば、それは神社の場所を記した地図だった。
「えっ、多岐神社?もしかして、隣の区にある神社ですか?」
「意外と近いだろ。自転車でも余裕で行ける」
「知らなかった。こんなご利益のある神様が住んでいるなんて」
「アタイはつつましいからな。なかなか見つけてもらえないのさ」
ロマンスはしなっとして宙を見た。
「いや、十分存在感ありますよ」
私は小さく噴出した。続いてハアとため息をつけば、まっすぐロマンスを見た。
「私、この神社の神様が恋にすごくご利益があるって、あちこち宣伝します。もちろん、お願いが叶ったらお礼参りするようにとも」
「後半、大事だねぇー。よろしく頼むよ」
ふいに、ロマンスの体の色が薄くなった。よく見れば、後ろにあるドアが見える。透けているのだ。







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