教えて!恋愛の女神様
十四インチくらいの小さなテレビに映る私達は、どう見ても幸せに包まれていた。
「知佳さん、お幸せそうでよかったですね」
「ああ、修行したかいがあったってもんだ。ちゃんとアタイの好物である串団子も置いていった。幸せだとやる事が違うねぇー」
「知佳さん、すごくがんばられましたよね。少々反抗的なところもございましたが、基本は素直にロマンスさまのお言葉を聞いていらっしゃいました」
「いくつになっても、素直ってのは大事だ。素直に人の忠告を聞けないと偏屈なジジイやババアに降格だ。そんな奴、誰も相手にしちゃくれない。さびしい老後まっしぐらだ」
「さようでございますね」
今井は深々とうなずいた。そして再びテレビを見た。
「知佳さんと裕矢さんは、いく久しく仲良くやっていけそうですね」
「それはどうかなぁ?」
「ダメでございますか?」
「いや、ダメとは言っていない。これからの二人の努力にかかっていると言うだけさ」
「なるほど」
「今井も人間やっている時は、ウンザリするほど経験したろ?最初はお互いを気づかっているが、日一日と立つたび甘えが出てくる。甘えを抑えられなくなって相手を自分の思い通りにしようとすると、関係にヒビが入りだす。最後までヒビが入っちまえば、どんなに硬くて大きな皿でも、チョンと触れば真っ二つだ。一度割れたモンは戻すのが難しい。だから、最後までヒビが入る前に『おもいやり』って言う接着剤でヒビを補強しなきゃならん。そこに気づけなければ、何人と付き合おうが結婚しようが、うまくいかん。こちらもさびしい老後まっしぐらだ」
ロマンスは右手の上にアゴを乗せ、あぐらを組んだ右太物の上に肘を乗せるとテレビを見た。
「……まあでも、とにかく二人は始まったばかりだ。ここで四の五の言ってもどうにもならんな」
ロマンスは今までで一番優しく笑った。
「ヨチヨチ歩きの二人を暖かく見守ってやろうじゃないか」
「さようでございますね」
空の上にいる力強い応援団は、静かにテレビのスイッチを切った。そして、地上にいる私は、自分を頼りに自分の力で歩き出した。でも困った時はすぐ『助けて』って呼ぼうと思う。
ロマンスは口は悪いけど、心はとても優しい神様だから。
「知佳さん、お幸せそうでよかったですね」
「ああ、修行したかいがあったってもんだ。ちゃんとアタイの好物である串団子も置いていった。幸せだとやる事が違うねぇー」
「知佳さん、すごくがんばられましたよね。少々反抗的なところもございましたが、基本は素直にロマンスさまのお言葉を聞いていらっしゃいました」
「いくつになっても、素直ってのは大事だ。素直に人の忠告を聞けないと偏屈なジジイやババアに降格だ。そんな奴、誰も相手にしちゃくれない。さびしい老後まっしぐらだ」
「さようでございますね」
今井は深々とうなずいた。そして再びテレビを見た。
「知佳さんと裕矢さんは、いく久しく仲良くやっていけそうですね」
「それはどうかなぁ?」
「ダメでございますか?」
「いや、ダメとは言っていない。これからの二人の努力にかかっていると言うだけさ」
「なるほど」
「今井も人間やっている時は、ウンザリするほど経験したろ?最初はお互いを気づかっているが、日一日と立つたび甘えが出てくる。甘えを抑えられなくなって相手を自分の思い通りにしようとすると、関係にヒビが入りだす。最後までヒビが入っちまえば、どんなに硬くて大きな皿でも、チョンと触れば真っ二つだ。一度割れたモンは戻すのが難しい。だから、最後までヒビが入る前に『おもいやり』って言う接着剤でヒビを補強しなきゃならん。そこに気づけなければ、何人と付き合おうが結婚しようが、うまくいかん。こちらもさびしい老後まっしぐらだ」
ロマンスは右手の上にアゴを乗せ、あぐらを組んだ右太物の上に肘を乗せるとテレビを見た。
「……まあでも、とにかく二人は始まったばかりだ。ここで四の五の言ってもどうにもならんな」
ロマンスは今までで一番優しく笑った。
「ヨチヨチ歩きの二人を暖かく見守ってやろうじゃないか」
「さようでございますね」
空の上にいる力強い応援団は、静かにテレビのスイッチを切った。そして、地上にいる私は、自分を頼りに自分の力で歩き出した。でも困った時はすぐ『助けて』って呼ぼうと思う。
ロマンスは口は悪いけど、心はとても優しい神様だから。