教えて!恋愛の女神様
「そらみろ。そっから寝るまでに部屋はきれいになるか?」
「い、いやー。今日は午後六時からバイトも入っているし。無理、かなぁー」
「早起きしなきゃ部屋はぜんぜん片付かないぞ。片付かなきゃ、アタイの修行は受けられない。受けられないって事は、お前はモテない女のままだ。それでいいのか?」
「よ、よくないです!掃除します!めっちゃ気合い入れてします!」
さっきまでロマンスに腹を立てていたのも忘れ、私は彼女に向かって敬礼した。すっかりやる気満々だった。
「うむ、それでよろしい」
ロマンスは満足そうにうなずいた。
 まず部屋のカーテンを開けると、空気の入れ替えをするため窓を開けた。今日は晴れるようで、すでに空は明るく、雲一つない青い空がどこまでも広がっていた。
「きっもちー!」
「だろう?朝の空気は澄んでいるからな。深呼吸すれば寝ぼけた頭も一気に目覚め、効率よく事を進められる。つまり時間を有効活用することができると言うわけだ」
「なるほどねー。昔の人は頭がよかったんだ」
「知佳、お前もやればできるさ。がんばれ!」
「はい!」
再びロマンスへ向かって敬礼すると、携帯電話を手に持ったままだった事を思い出した。
(これじゃ掃除できない。テーブルの上にでも置いておこうか)
しかし置こうとしたとたん、待ち受け画面がまだ元カレとのツーショット写真だったのを思い出しショックだった。実際に開いてみれば、ラブラブの頃の自分が微笑んでいた。
(でも、もう彼とは終わったんだ。未練たらしく持っていちゃいけない。潔く捨てなきゃ)
私はボタンをいくつか押して、待ち受けとして使っている写真も保存してあった分も消した。新しい待ち受けの画像は、以前占いサイトからダウンロードした幸運を呼ぶイラストにした。
(これでよし!さあ、掃除掃除!)
私は風呂とトイレが一緒のユニットバスの掃除をすることにしようと浴室に入った。









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