教えて!恋愛の女神様
「そうだ。だからアタイの経験は今も十分有効ってワケだ」
「有効なワケないじゃないですか!」
「なんだと!」
「百年って言ったら一世紀も前ですよ。一世紀あったら、世界は激変しますよ」
「しねぇ、大して変わんねぇ!」
「だったら日本はどうなんですか?平穏無事に百年が過ぎたんですか?」
「そ、そりゃ色々あったさ」
「証拠は?」
とたん、ロマンスはニヤリと笑った。
「ちょうど良い。学校言って調べてこい。立派な図書館があるんだろ?自分のレベルを上げられる。つまり、モテ子に一歩近づくってわけだ」

 ロマンスが作ってくれたおにぎりを二つ食べ終え身支度を整えると、ゴミを捨て、午前八時少し前に家を出た。大学までは徒歩で二十分。図書館は午前八時に開くので、講義開始の午前九時まで一時間ある。そこでロマンスからの課題をこなそうと思った。
 しかし、私の心はさっそく不安に包まれていた。ロマンスの事を思うと不安でならなかった。
(まだ朝炊いたご飯は残っているし、缶詰を何種類か出してきたし、電子レンジの使い方を教えて来たけど、一人でちゃんとお昼食べれるかな?しっかりしていそうで、うっかりやらかしそうだもんな)
そう、ロマンスは神様だが文明の利器は使えない。ロマンスが亡くなったのは……つまり人間としての人生を終えたのは百年前の明治後期。
(あの特攻服にすっかりダマされた。特攻服なんて着ているから、つい最近死んで神様になったとばかり思っていたけど、人間界を見ていた時気に入ったから趣味で着ていたとはね。もう、まぎらわしい!)
しかし、ハタと思う。
(本当に電子レンジ使えるんだよね?『だいじょーぶだって!』って言い切っていたから信用して出てきたけど、使えるかどうか確認してこなかったもん!)
背中を冷や汗が流れる。







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