教えて!恋愛の女神様
(たしか、家電の三種の神器と言われた白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫が売り出されたのは戦後のはず。第二次世界大戦が終わったのが昭和二十年だから、三種の神器がお目見えしたのはそれ以降になる)
胸の中に不安の雲が広がりだす。歩みも遅くなる。
(やっぱり、電子レンジ使えなさそう……)
私はバッグの中から携帯電話を取りだすと時間を見た。家に備え付けの電話はない。電話をかけてロマンスに『大丈夫?本当に使える?』と確認はできない。
(よし、とっとと調べ物を終わらせて、家へ帰ろう。そしてロマンスが電子レンジを本当に使えるかどうか確認したら、ダッシュで大学へ戻ろう!)
いつになく私を気遣いおにぎりを作ってくれたロマンスの恩に報いたかった。こんな事は初めてだった。
 急ぎ足で大学へ向かい正門を抜けると中央棟へ延びるまっすぐな道を歩き、半分ほど来たところで左に延びる緩やかな坂道を歩いた。図書館へ続く道だ。
(今日はヒールの低い靴を履いてきてよかった。十分で着いた!)
道は少し曲がりくねった上り坂になっていて、上りきると右から左へ婉曲した近代的なラインの建物である図書館の中へ入った。私が通う大学は私立大学なので、建物には結構お金をかけている。外観だけでなく中もかなり立派。そのためロビーはちょっとしたホテル並みに設備が整っていて、いるだけでセレブな気分になれた。
(マミ達から聞いてはいたけど、本当にすごい。もっと早く来ればよかったな)
良い気分のまま二階へ続くらせん階段を上ると、真正面にあるパソコンへまっすぐ向かった。ここの図書館は何十万冊と言う蔵書がある。いきあたりばったりで探しに行こうものなら、いつまでたっても目的の本が見つからない。だから、パソコンの検索機能を使い調べると言うワケだ。
 とたん、ある事を思いだした。
(そう言えばわざわざ図書館へ来なくても、携帯電話で調べればよかったんじゃない?)
携帯電話は今時の若者らしく最新の機種を持ち、月額八千円くらい払って、メール、電話、ゲームし放題にしていた。当然調べ物も簡単にできる。歴史に関しても事細かに調べられるはずだ。







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