教えて!恋愛の女神様
(バスの乗り換え?移動しろ?三講目から講義があるのに、何で移動しなきゃならないの?ああもしかして、郊外で講義がある?)
状況が呑み込めない私は、頭の中にたくさんの『?』を浮かべ、二人を代わる代わる見た。
「俺はもう高校生の時とは違う。ちゃんと自分で何でもできるんだ」
「じゃあ、ここから大学まで何分かかるかわかるか?最低でも一時間はかかる。お茶に誘われているのに、三十分話してトンずらか?ずいぶん冷たい奴だな」
「もう一回会うつもりだよ。それなら文句ないだろ?」
(えっ、もう一回会ってくれるの?)
予想外の言葉に私は嬉しくなった。
「彼女いるくせに、もう一回だ?最低だな、おまえ」
(……はい?)
「ちゃんとお礼をしたいだけだよ。やましい気持ちはない」
「あるだろ。そうじゃなきゃ、お茶に誘われたら断るはずだ。『僕には彼女がいるんです。彼女のためにも、そう言う事はできません』って」
(彼女、いるんだ……)
私はショックでぼう然とした。せっかくタイプの男の子と巡り会ったのに、彼女がいたのでは付き合うのは難しい。
(男を奪うだけの恋愛スキルは私にはない。あきらめた方がいいのかな……)
さらにダメ押しのように、翔太の彼女が現れた。モデル並みにスタイルも顔もいい彼女は、シンプルなデザインで紺色のノースリーブのワンピースをカッコよく着こなしていた。普通の女の子である私が太刀打ちできるとは到底思えなかった。
「ちょっと、翔太。いつまで待たせるの?講義に遅れるじゃない」
「ご、ごめん、エリカ。借りたらすぐ行くよ」
「もうそのセリフ聞き飽きた。マジで他の男に乗り換える」
(え?)
信じられないセリフに私はびっくりしてエリカを見た。私だったら、人前でそんな事言えない。そう言う事は、二人しかいない場所で話し合うものだと思っていたから。
(だってジロジロ見られるのイヤだもん)
翔太も同じように思っているのか、気まずそうに視線をそらした。プライドを傷つけられたに違いない。しかしエリカは慰める気配も見せず、かえってイラただしそうに胸の前で腕を組み、大きくため息をついた。
 








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